「請求額から振込手数料が引かれていた」
建設業で仕事をしていると、このような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

例えば、10万円を請求したのに、実際に振り込まれたのは99,340円。明細を見ると、振込手数料660円が差し引かれていた――。

建設業界では昔からよく見られるケースですが、

  • 振込手数料は本来誰が負担するものなのか
  • 元請が差し引くのは問題ないのか
  • 2026年の取適法(改正下請法)で何か変わるのか

気になっている方もいるでしょう。
この記事では、一人親方や小規模事業者の方向けに、建設業における振込手数料の考え方をわかりやすく解説します。

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なぜ請求額から振込手数料が引かれるのか

建設業界の慣習として残っている

建設業界では昔から、「振込手数料は受け取る側が負担する」という取り扱いをしている会社も少なくありません。特に、

  • 元請と下請
  • 一次下請と二次下請
  • 会社と一人親方

などの取引では、請求書に記載した金額から振込手数料が差し引かれて入金されるケースがあります。発注側からすると、

「昔からそうしている」

という認識で行われていることも多いようです。

少額だから問題になりにくかった

振込手数料は数百円程度であることが一般的です。そのため、

  • わざわざ言いづらい
  • 関係が悪くなるのが嫌
  • 今後の仕事に影響したくない

と考え、受注者側が我慢しているケースもあります。しかし、年間を通して考えると決して小さな金額ではありません。

例えば月に10件の入金があり、1件あたり660円引かれている場合、
660円 × 10件 × 12か月=79,200円
になります。

一人親方にとっては無視できない金額と言えるでしょう。

建設業法ではどう考えられている?

請負代金の減額は問題になる可能性がある

建設業法では、下請負人を不当に不利な立場に置く行為が問題視されています。例えば、

  • 契約した金額を後から一方的に減額する
  • 理由なく支払額を減らす

といった行為は適切ではありません。そのため、請求額100,000円に対して、

  • 振込額99,340円
  • 手数料660円差引き

となっている場合、その取り扱いが適切なのかは契約内容や経緯によって判断されることになります。

契約で決まっている場合は?

ここで重要なのが契約内容です。例えば、

  • 契約書
  • 発注書
  • 基本取引契約

などで、「振込手数料は受注者負担とする」と明確に定められているケースがあります。

このような場合は、単純に違法とは言い切れません。
一方で、受注者が十分に理解しないまま一方的に押し付けられているようなケースでは問題になる可能性もあります。

そのため、まずは契約書を確認することが大切です。

建設業法だけでなく実務上の考え方も重要

実際には、

  • 契約内容
  • 支払方法
  • 取引慣行
  • 当事者間の合意

など複数の要素を踏まえて判断されます。そのため、「絶対に違法」「絶対に問題ない」と断言できるケースばかりではありません。個別の契約内容によって結論が変わることもあります。

2026年の取適法改正でどう変わる?

取適法とは?

2026年1月1日から施行される「取適法」は、従来の下請法を見直した新しい制度です。目的は、

  • 中小事業者
  • 個人事業主
  • フリーランス

など、立場の弱い事業者を保護することにあります。近年は、

  • 原材料費の高騰
  • 人件費の上昇
  • エネルギー価格の上昇

が続いており、適正な価格転嫁が大きな課題になっています。

振込手数料の押し付けも問題視されている

今回の制度改正では、発注者が優位な立場を利用して受注者に不当な負担を押し付けることが問題視されています。振込手数料についても、

「なぜ受注者が負担するのか」

という視点がこれまで以上に重要になります。特に、

  • 一方的な条件設定
  • 価格協議の拒否
  • 不合理な負担の押し付け

については厳しい目が向けられるようになっています。

建設業でも無関係ではない

「建設業は取適法の対象外」という説明を聞いたことがあるかもしれません。確かに、建設工事そのものの請負契約は建設業法の対象であり、取適法の対象外とされています。しかし、

  • 運送委託
  • 設計委託
  • 測量業務
  • 資材加工

などの取引では、取適法が関係してくる可能性があります。そのため、建設業だから関係ないと考えるのは危険です。

※詳しくは「下請法(取適法)の改正は建設業に関係ある?」の記事もご覧ください。

一人親方はどう対応すべき?

契約書を確認する

まず確認したいのは契約内容です。

  • 振込手数料の負担者
  • 支払条件
  • 控除項目

などが記載されていないか確認しましょう。
意外と見落としているケースもあります。

請求額と入金額を確認する

毎月の入金についても確認が必要です。特に、

  • 請求額
  • 入金額
  • 差引額

を把握していない方も少なくありません。知らないうちに手数料が差し引かれているケースもあるため、一度確認してみることをおすすめします。

いきなり対立しない

もし疑問があった場合でも、いきなり「違法だから返してください」と強く主張するのは得策ではありません。まずは、

「振込手数料の扱いはどのようになっていますか?」

と確認するところから始めるのが現実的です。実際には担当者レベルでは把握していないケースもあります。

よくある質問

Q. 数百円なら気にしなくていい?

1回では小額でも、年間では数万円になることがあります。継続的な取引がある場合は一度確認してみる価値があるでしょう。

Q. 契約書に書いてあれば問題ない?

契約内容は重要な判断材料になります。ただし、個別事情によって評価が変わることもあるため、一概には言えません。

Q. 昔から引かれているけど今さら言える?

言えないわけではありません。ただし、まずは契約内容や支払条件を確認し、事実関係を整理することが大切です。

まとめ|振込手数料の扱いを一度確認してみよう

建設業界では、振込手数料が受注者負担となっているケースが今も存在します。しかし、

  • 振込手数料は原則として支払側負担
  • 契約内容によって取り扱いが異なる
  • 一方的な負担の押し付けは問題になる可能性がある
  • 2026年の取適法改正で適正取引への注目が高まっている

という点は知っておきたいところです。特に一人親方や小規模事業者の方は、「昔からそうだから」で済ませるのではなく、

  • 契約書
  • 支払条件
  • 実際の入金額

を一度確認してみることをおすすめします。思わぬトラブル防止や、適正な取引環境づくりにつながるかもしれません。

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