特別加入者(一人親方の労災保険へ加入している方)が業務または通勤により被災した場合
所定の手続きを行うことで、休業補償給付が国から支払われ、受け取ることができます。

一人親方労災保険の休業給付は、業務中や通勤中のケガや病気により、4日以上仕事ができない際に支払われる給付金です。

休業給付金の額は、給付基礎日額の80%に休業日数を掛けたものになります。
詳しく見ていきましょう。

一人親方労災保険の休業補償

前に述べたように一人親方が業務災害によって入院や通院、または療養などのために仕事ができない状態となった時に国から補償される給付です。

休業給付は、業務中(仕事を起因とした)や通勤中(通勤に逸脱した経路が無い)のケガや病気により4日以上の労務不能となった、つまり仕事ができない状態であったとときに、支払われる給付金です。

休業給付金の額は、給付基礎日額の80%(厳密にいうと、60%と20%)
に休業日数を掛けたものになります。

一人親方労災保険の休業給付金

休業を開始した日から3日は免責期間となり、4日目から休業した日数の計算日となります。
休業給付金は休業1日につき、給付基礎日額の80%で計算されます。

給付される名称と割合は以下の通りとなります。

  • 休業(補償)給付=60%
  • 休業特別支給金=20%

合わせて80%の計算となります。

一人親方労災保険の休業補償計算方法

それでは例をあげて計算してみましょう。

例:給付基礎日額6,000円型加入で20日間休業した場合

6,000円×60%×(20日-3日) =40,800円
休業特別支給金は6,000円×20%×(20日-3日) =81,600円
総支給合計は、40,800円+81,600円=72,400円

休業補償金額合計:72,400円

給付基礎日額6,000円型加入で30間休業した場合

6,000円×60%×(30日-3日) =64,800円
休業特別支給金は6,000円×20%×(30日-3日) =129,600円
総支給合計は、64,800円+129,600円=194,400円

休業補償金額合計:194,400円

給付基礎日額3,500円型加入で90間休業した場合

3,500円×60%×(90日-3日) =182,700円
休業特別支給金は3,500円×20%×(90日-3日) =60,900円
総支給合計は、182,700円+60,900円=243,600円

休業補償金額合計:243,600円

休業給付金の確定申告について

国から受け取った(支給された)休業補償給付金額は

非課税所得

となりますので、申告の義務はありません。

事業や事業以外でも何らかの対価として収入があった時には、その収入額に対し所得税が発生します。
所得税は収入額に応じ、徴収される額が変わるので、収入が増えれば当然ですが、所得税額も多くなります。

労災における休業補償給付については非課税所得となりますので、所得税の計算には一切関係がありませんので、確定申告時期に休業補償給付を収入欄へいれないようにお気を付けください。

休業補償計算方法のまとめ

一人親方の労災保険へ申し込みする際に、ご自分で決めた基礎日額を元に計算されます。

就労不能となった際に国が補償してくれる金額を基礎日額から事前に計算し
決めるのが良いでしょう。

重要なのは、必要以上に保険を掛けないこと。
当然ながら高額な補償を付けると、その分労災保険料等も高額になります。
民間の保険に加入している方は、そちらの保険を加味してご検討ください。

必要な額以上に保険を掛けるのは、日々の経済的負担も大きくなりますので注意が必要です。

一人親方労災保険の休業補償の要件

特別加入者の休業(補償)給付を受けるにはいくつかの要件があります。
見ていきましょう。

仕事が出来ない状態で所得が得られない

一般の労働者と異なり、特別加入者の場合は
所得喪失(所得喪失とは全く業務ができないか一部の業務しかできずに収入が減少すること)
の割合や所得の有無は関係ありません。

つまり、仕事ができない状態であることから、その仕事から得られるはずだった「所得」がまったく得られないということです。

簡潔に言えば、仕事中にケガをして、その仕事が全部できなくなったことにより、収入を得ることが出来なくなった状態であるということになります。

全部労働不能の状態である

全部労働不能とは、 療養(通院も含む)のため
一人親方の労災保険へ加入する際に業種欄で選択した業務及び、その業務に直接付帯する作業(準備・後始末作業等)などの業務(作業)に全く従事できない状態をいいます。
負傷(発症)前 の作業が全部労働不能であることです。
負傷前の作業とは、業務災害が発生する前から従事していた業務のことです。

また、単に仕事が少ないため、業務(作業)に従事していないというのみでは、支給の対象とはなりません。
あくまで、仕事ができない状態であることが支給対象の要件となります。

休業補償支給要件のまとめ

特別加入者が「休業(補償)給付の対象となる」のは

  1. 入院中であること
  2. 自宅で就床加療中または安静加療中(医師の指示によるもの)であること
  3. 通院加療中であって特別加入申請書に記載した業務

仕事ができない状態である事を、医学的見地から証明できる第三者(医師の証明)が必要となります。
当たり前ですが、自分や近親者や仕事仲間の判断で仕事ができないというのは認められません。

一人親方労災保険の休業補償の申請方法

書類の画像

休業補償給付を申請するのは、労働基準監督署や労働局へで直接行うことはできません。

労災保険の事務手続きを行っている特別加入承認団体や、事務代行を行う行政書士などの士業
商工会などが、書類を作成してくれます。
作成された必要書類を、特別加入者自ら病院へ提出します。
医師は、特別加入者が労働不能なことを証明欄に記載、管轄の労働基準監督署へ送ります。

代行して書類を作成

書類を代行して作成する団体や依頼されるところによっては、書類作成料がかかる場合があります。
事前に確認しておきましょう。

特別加入承認団体

厚生労働省、労働基準監督署長、労働局の承認を受けて特別加入制度の事務全般を代行して行う団体です。特別承認団体によって、書類作成の料金が徴収されるかどうかもあります。
加入前に調べておきましょう。

士業

士業とは、弁護士や司法書士、税理士などのことを表します。
特別加入制度の書類代行は、行政書士や社会保険労務士が代行して作成することが一般的です。
もちろんのこと、士業の方へ依頼すると有料となります。
大体ですが、代行手数料として
10,000円から30,000円ぐらいでしょう。

商工会や組合

商工会は地区、組合は支部によって違いがあります。
ただし、組合費が別途必要となるケースが多いようです。
特に商工会議所では、顧問先などの士業を紹介してくれますが、最終的には特別加入者が紹介を受けた士業の方へ連絡を入れ、依頼するケースが多いようです。
この場合の書類作成は有料となります。

一人親方向けの労災保険はどこで入るのがおすすめ?

一人親方向けの労災保険を取り扱う団体は数多くあり、それぞれ特徴を持っています。
人それぞれ優先すべき事項はまちまちですから「この団体が最適です!」とは言い切れません。
労災保険に対する考えや費用などをじっくり検討した上で、あなたにとってベストな団体を選ぶべきでしょう。

全国建設業親方労災保険組合

全国建設業親方労災保険組合では、労災申請の書類作成を無料で代行しています。

申請書類は非常に煩雑で書くことも多いので、ケガや病気で苦しんでいる状態の時にきちんと書き上げるのは難しいもの。
ですから、ほとんどの労災保険取扱団体では、申請書類の作成を代行しています。
けれども有料としていることが多いので「働けないから労災保険の補償を受けるのに、お金を払わなくてはならない」という悪循環に陥ることも。

また、団体としては申請手続きが多少遅れても損害は発生しません。
ですから書類ができるまで数日待たされることもあるようです。
もちろんその日数分、お金が振り込まれる日が遅れます。

一方、全国建設業親方労災保険組合は労災保険の専門家が在中しているので、連絡が入れば即座に対応。
しかも「無料」であなたをサポートします。

万が一に備えるなら、全国建設業親方労災保険組合で安心安全なサポートを受けましょう。

まとめ

特別加入制度(一人親方の労災保険)の休業補償給付は、特別加入者が業務または通勤により被災した場合に受け取れる保障です。
所定の手続きを行い、支給要件を満たすことで、休業1日につき(災害が起きた日から4日目以降)給付基礎日額の80%が支給されます。
詳細については厚生労働省のウェブサイトで確認することができますので、確認して見ましょう。

厚生労働省-特別加入制度に係るお問合せ窓口
労災保険相談ダイヤル 0570-006031

厚生労働省 保険給付 特別給付金の種類より