「建設業で一人親方として働いているけれど、労災保険は個人で加入が必要?それは経費にできるの?」と思ったことはありませんか?
実は、一人親方の方も特別加入という制度を利用して労災保険に加入でき、支払った保険料を経費として計上することが認められています。正しい方法で経費処理すれば、節税効果も期待できます。

本記事では、そんな一人親方の労災保険料経費計上節税対策について、具体的な手順やよくある疑問点をわかりやすく解説します。

一人親方の労災保険(特別加入)の基本

一人親方が加入する労災保険とは

通常の労災保険は、労働者を雇用する事業主が加入する仕組みです。
つまり労働者(社員)は労災保険料の支払い義務がありません。しかし、建設業の一人親方自営業の方は、基本的には労働者ではないため、通常の労災保険に加入できません。

そこで利用できるのが、特別加入制度です。これは、厚生労働省が定める条件を満たすことで、一人親方でも労災保険に加入できる仕組みとなっています。

特別加入制度のメリット

  • 仕事中や通勤中にケガをしてしまったときでも補償を受けられる
  • 元請企業や顧客にも「きちんと労災加入している」とアピールでき、信頼度が上がる
  • 保険料が経費として計上できる(後述)

一人親方向け労災保険にかかる金額ってどれくらい?

一人親方が労災保険に加入する際には主に「入会金」「会費(または組合費)」「保険料」の3つの費用が必要になります。
1つずつ詳しく見ていきましょう。

入会金

団体によって異なりますが、初回の加入時に支払う費用になります。
よって既に労災保険に加入済みの方は気にする必要はありませんが、これから入りたいという方はチェックが必要です。

一般的には5,000円~10,000円程度ですが、近年では入会金不要の団体も増えています。「入会金の存在を知らずに申し込みをしてしまった!」なんて事がないように、加入前にホームページ等でよく確認しましょう。

会費(組合費)

特別加入制度を通して労災保険に加入している間は必ず会費が発生します。
労災保険は年度単位での加入が基本ですので会費も1年分かかるのが一般的です。

最近は月単位での加入ができる団体も増えてきたのでそればかりではありませんが…

短期間の限定での加入ができるケースもありますが、年度加入と会費が異なる場合もありますので、事前によく調べておくとよいでしょう。

保険料の計算方法

特別加入の保険料は、給付基礎日額 × 保険料率で算出されます。給付基礎日額は最低3,500円から上限25,000円までの範囲で選択可能で、選択した額によって年額の保険料が変動します。

例)建設業で給付基礎日額 10,000円を選択した場合
年間保険料=10,000円 × 365日 × 保険料率(建設業:17/1000)
※実際には主に加入団体を通じて一括で申告・納付するケースが多いため、団体で提示される保険料を確認してください。

保険料率は業種によって異なり、最も低い業種では3/1000、最も高い業種では52/1000と業界の労働災害の発生状況から厚生労働省によって定められています。
上記の例にもありますが建設業は17/1000となっています(令和7年4月現在)

最近は、会費のみを記載して「月々○○円~!」とアピールしているものの、実際には保険料や入会金が別途発生するケースも珍しくありません。
事前に、どの費用が掛かるのか?保険料は含まれているのか?等よく調べておきましょう。

その他の費用

これまでに述べた料金に加えて、年度の切り替えの際に発生する更新手数料や、万が一の際諸々の書類作成時に発生する手数料、書類作成等にかかる書類作成手数料、脱退時の脱退手数料等の料金が発生する場合があります。

これらの料金は団体によって発生しないこともありますので、不安でしたら事前に確認しておきましょう

全国建設業親方労災保険組合イメージ画像

全国建設業親方労災保険組合では、労災保険にかかわるすべての申請書類作成を無料で代行しています。
加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
ですから、ほとんどの労災保険取扱団体では、申請書類の作成を代行しています。
特に、労災事故が発生したら、加入している団体や組合にすみやかに労災事故報告を行いましょう。

全国建設業親方労災保険組合は、加入から脱退、労災事故報告の連絡が入れば即座に対応しています。
専門家がスピーディに、しかも「無料」であなたをサポートします。

万が一に備えるなら、全国建設業親方労災保険組合で安心安全なサポートを受けましょう。

労災保険料は経費になるのか?

経費計上が認められる根拠

結論から言えば、労災保険料は経費として計上できます

労災保険加入時の料金を構成する「入会金」「会費」「保険料」のうち、
前2項目は事業を継続するうえで必要な支出として認められています。
また、保険料は社会保険料として認められているからです。

一人親方(個人事業主)本人の社会保険料は経費としては計算しませんが、どちらも所得税の課税対象外と言う事で実質「経費」という表現を用いています

経費とならないケース・注意点

  • 個人の傷害保険自動車保険など、業務ではなくプライベートで加入している保険は経費になりません。
  • 労災保険(特別加入)は仕事上のケガを補償するためのものなので、用途が明確であれば基本的に経費として計上可能です。
  • 他の家族従業員がいる場合は、特別加入の対象かどうかを別途確認する必要があります。

経費計上の具体的な方法

勘定科目と仕訳の例

先述しましたが、労災保険加入時の料金は二種類に分ける必要があります。

入会金、会費

正式に経費として計上できます。勘定項目は一般的に「諸会費」「支払手数料」「雑費」などから選択できますが、ポイントはこれらを毎年統一して処理することが重要です

保険料

保険料は正確には経費にはなりません。確定申告の際は自身の社会保険料控除に算入しましょう。
一方、経費と社会保険料控除はいずれも所得を圧縮する性質は変わらないため、保険料は実質的に経費と言えます。

これらのイメージは次の図の通りです。

経費算入イメージ図
全国建設業親方労災保険組合イメージ画像

全国建設業親方労災保険組合では、煩わしい入会金会費保険料の請求を一元化しており、表記料金以外は基本的に不要です!

万が一の労災事故が発生したときには、必要書類の作成も無料で対応しています!

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※一部年度更新完了後の脱退等、手数料をいただく手続きもあります

前払い・月払いの場合の計上タイミング

  • 多くの場合、年度ごとに一括前払いで納付します。前払いしたときに、一度に経費計上するか、月ごとに計上するかは会計上のルールによりますが、前払費用として処理する方法と、まとめて処理する方法があります。
  • 実務上は、「契約期間に対応させる(按分する)」か「支払った時点で全額を経費にする」かの2パターンです。どちらを選んでも問題ありませんが、税理士や会計の専門家に相談すると安心です。

当団体では年度加入の場合、一括前払い(年払い)と月々のお支払(月払い)とでお選びいただけます
ご自身の経費スタイルに合ったお支払方法をお選びいただけます

労災保険料を活用した節税対策

所得圧縮による節税メリット

経費計上を行うことで課税対象となる所得を圧縮でき、所得税や住民税の負担が軽減されます。国民健康保険料や国民年金保険料の額にも影響を与える場合があるため、経費計上の効果は意外に大きいといえるでしょう。

他の制度・控除との組み合わせ

  • 青色申告特別控除(55万円 or 65万円)との併用
    青色申告を行っている場合は、別途青色申告特別控除を受けられます。労災保険料の経費計上と併せて利用すると、さらに節税が期待できます。
  • 小規模企業共済やiDeCoなどの活用
    将来に備える共済や年金制度と掛け合わせると、さらに税負担を抑えられるケースもあります。

元請に労災保険の加入をアピールする方法

加入証明書の取得

一人親方が特別加入する場合、組合などを通じて加入手続きを行い、「加入証明書」を発行してもらえます。これを元請や顧客に提示することで、「業務上の安全対策がしっかりしている」と認識され、仕事の信頼度が上がるでしょう。

信頼性アップによる受注メリット

  • 元請企業は、下請け業者に労災リスクがないか常に気にしています。
  • 労災保険の特別加入は、元請企業が求める「安全管理の証明」にもなるため、追加契約や長期的な取引につながる可能性が高まります。

全国建設業親方労災保険組合の加入証明書サンプル

よくある質問(Q&A)

Q1. 労災保険料はどのタイミングで計上すればいい?
A. 年払いの場合は前払費用として按分して計上する方法と、一括で計上する方法があります。ご自身の会計処理ルールに合わせて選択しましょう。

Q2. 家族を雇用している場合の保険料はどうなる?
A. 家族従業員でも「特別加入」の対象となるかは要確認です。従業員として加入すべき通常の労災保険と混在しないよう注意してください。

Q3. 他の保険(傷害保険など)は経費になる?
A. プライベート用途の保険は経費になりません。仕事用として契約している保険でも、税務上の判断が分かれるケースがあるので、専門家に相談を。

まとめ

  • 一人親方でも特別加入制度によって労災保険に加入可能
  • 会費や入会金は経費に計上でき、保険料は社会保険料控除税負担軽減
  • 労災加入の証明書を提示することで、元請や顧客からの信頼度UPにつながる

労災保険料の経費計上や他の節税方法は、個人事業主の確定申告においてとても重要です。詳しくは、税理士や社労士など専門家に相談しながら、最新の情報をチェックすると安心です。

全国建設業親方労災保険組合イメージ画像

全国建設業親方労災保険組合では、労災保険にかかわるすべての申請書類作成を無料で代行しています。
加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
ですから、ほとんどの労災保険取扱団体では、申請書類の作成を代行しています。
特に、労災事故が発生したら、加入している団体や組合にすみやかに労災事故報告を行いましょう。

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