一人親方の労災保険の正式名称は「特別加入制度の労働者災害補償保険」と言います。

また、厚生労働省では「一人親方その他の自営業者用の労災保険」と表しています。

なぜ特別加入制度と呼ぶのかは別の章でご説明しますが、相称として「一人親方の労災保険」と呼ぶ方が多いようです。

ここでは、初めて労災保険を検討している方、もしくは加入したいと考えている「一人親方や自営業者」様向けに特別加入制度の説明をしていきます。

特別加入制度の歴史

建設業界では、多くの一人親方が働いています。

一人親方は職人。職人だった働かないと生活の糧は稼げません。

しかしかつては、一人親方は会社員や雇用されている方たちのように労災保険に加入できず、労働災害に遭った場合の補償が不十分でした。

そこで、昭和44年に「建設業一人親方特別加入制度」が設けられ、一人親方や自営業主が労災保険へ加入できるようになりました。

特別加入制度とは

建設業一人親方特別加入制度とは、建設業における一人親方が、労災保険に特別に加入できる労災保険の制度です。

なぜ一人親方や自営業者の方が労災保険へ加入できなかったというと、日本の法律では一人親方・自営業の方は「労働者」ではない、端的に言えば働いていない人たちというカテゴリーに入ってしまうからです。

労働者というものは、自らの労働の対価として賃金をもらい生活の糧とする方たちです。

いずれかの組織体に属し、時間で拘束され、基本的には「労働時間=労働対価」として属する組織体から賃金を受けとります。

一方、一人親方はいずれの組織体にも属せず、自分の力量で仕事をこなしていきます。
元請けから仕事を受注し、時間給ではなくその仕事が終わったらいくらもらえるという契約を交わします。

労働者との大きな違いは対価の支給要件です。

  • 労 働 者 =労働時間
  • 一人親方=完成高

一人親方の労働の対価はあくまで「完成高」です。

一人親方には「時間給」という概念はありませんから、何時間働いたからいくらもらえるというものでありません。

事業主ですから、時給いくらという契約はもともとありませんよね。

これが、労働者として認められないという要件の一つとなっています。

日本の法律では、労働者は国が守るべきものとしていますが、非労働者は国が守るべきものではないということなのでしょう。

労災保険の正式名称は先ほど述べた通り「労働者災害補償保険」ですから、労働者を業務災害から守るための国の補償保険。
法律的に労働者でない一人親方や自営業者、個人事業主や法人の代表を業務災害から国が守る「補償制度」は存在しません。

ただし、実情は労働をするからこそ、その対価として受注先から賃金が発生し、一人親方は生活できるわけです。

実情を鑑み、非労働者である一人親方あや自営業主でも「特別に労災保険」へ加入することができるようにした制度です。

ですから「特別」という名前がついているわけです。

この制度により、建設業の一人親方も労災保険に加入し、労働災害に遭った場合には、補償を受けることができるようになりました。

特別加入制度の加入資格

建設業一人親方特別加入制度に加入するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 建設業において、一人(またはその家族)で事業を行っていること
  • 建設業29種類に属していること
    以下29種類
    土木一式工事業
    建築一式工事業
    大工工事業
    左官工事業
    とび・土工工事業
    石工事業
    屋根工事業
    電気工事業
    管工事業
    タイル・レンガ工事業
    鋼構造物工事業
    鉄筋工事業
    舗装工事業
    しゅんせつ工事業
    板金工事業
    ガラス工事業
    塗装工事業
    防水工事業
    内装仕上工事業
    機械器具設置工事業
    熱絶縁工事業
    電気通信工事業
    造園工事業
    さく井工事業
    建具工事業
    水道施設工事業
    消防施設工事業
    清掃施設工事業
    解体工事業 (H28/6M法改正新設)
  • 労働局が指定する行政区分内に居住地域が属すること
  • 労働基準監督署経由労働局が指定する行政区分内に承認団体があること
  • 労働局(厚生労働省)が事務処理等において正しく行うことができると判断した団体であること
  • 特別加入の承認団体を通じて加入すること(労働局や労働基準監督署からは加入できない)
  • 一定の保険料並びに承認団体の規約に即しその他の料金を付加してしはらうこと

雇用するもの(社会保険適用者)や時間給労働者を雇い入れした場合は、一人親方ではなくなるため注意が必要です。

特別加入制度の補償範囲

建設業一人親方特別加入制度の補償範囲は、一般的な労災保険と同様です。

会社員等と違うのは、各種補償を受けるうえで計算の元となる金額「給付基礎日額」を自分で決められることです。
給付基礎日額は以下の金額から選ぶことができます。

  • 25,000円
  • 24,000円
  • 22,000円
  • 20,000円
  • 18,000円
  • 16,000円
  • 14,000円
  • 12,000円
  • 10,000円
  • 9,000円
  • 8,000円
  • 7,000円
  • 6,000円
  • 5,000円
  • 4,000円
  • 3,500円

ただし、いくらの給付基礎日額に入れるかは特別加入承認団体の規約によって決められています。
すべてがこの限りではありませんので、自分が入れる金額を各団体に問い合わせしておきましょう。

そして、給付基礎日額によって計算される補償内容は
具体的には、以下のような補償があります。

  • 傷病補償(治療費や入院費など)
  • 遺族補償(死亡した場合の遺族に対する補償)
  • 障害補償(障害が残った場合の補償)

その他まだまだありますが、詳しくは別の章でご説明していきます。

一人親方向けの労災保険はどこで入るのがおすすめ?

一人親方向けの労災保険を取り扱う団体は数多くあり、それぞれ特徴を持っています。
人それぞれ優先すべき事項はまちまちですから「この団体が最適です!」とは言い切れません。
労災保険に対する考えや費用などをじっくり検討した上で、あなたにとってベストな団体を選ぶべきでしょう。

全国建設業親方労災保険組合

全国建設業親方労災保険組合では、労災申請の書類作成を無料で代行しています。

申請書類は非常に煩雑で書くことも多いので、ケガや病気で苦しんでいる状態の時にきちんと書き上げるのは難しいもの。
ですから、ほとんどの労災保険取扱団体では、申請書類の作成を代行しています。
けれども有料としていることが多いので「働けないから労災保険の補償を受けるのに、お金を払わなくてはならない」という悪循環に陥ることも。

また、団体としては申請手続きが多少遅れても損害は発生しません。
ですから書類ができるまで数日待たされることもあるようです。
もちろんその日数分、お金が振り込まれる日が遅れます。

一方、全国建設業親方労災保険組合は労災保険の専門家が在中しているので、連絡が入れば即座に対応。
しかも「無料」であなたをサポートします。

万が一に備えるなら、全国建設業親方労災保険組合で安心安全なサポートを受けましょう。

まとめ

ここでは、特別加入制度(一人親方の労災保険)の成り立ち(歴史)や意味、加入資格などについて説明してきました。

建設業一人親方の特別加入制度に加入することで、労働災害(業務災害や通勤災害)に遭った時に、国からの補償を受けることができます。

まずは、加入資格や補償範囲について、事前に十分に理解しておくことが大切です。