現場が増えて「そろそろ人を雇わないと回らないな…」と感じ始めるタイミング。
建設業の一人親方にとっては、事業拡大の大きな一歩です。
ただし従業員を雇うと、一人親方のままでは成り立たない労災保険のルールが出てきます。

家族や知り合いだから大丈夫?

うちは一人親方の特別加入に入ってるから問題ないでしょ?

外注扱いにしておけばOK?
このような勘違いから、事故時に補償が受けられないリスクが生まれることも少なくありません。
そこで本記事では、
- 一人親方と労働者(従業員)の違い
- 従業員を雇ったときの労災保険の加入義務
- 一人親方の特別加入を続けられるかどうかの判断
- 切り替えが必要なケースと手続きの流れ
- 家族・外注を手伝わせる際の注意点
をまとめて解説します。
「従業員を雇う前に、どこをチェックすれば安全か」が分かる内容ですので、ぜひ最後まで読んでください。
一人親方と「従業員を雇う事業主」で何が変わる?
● 一人親方とは?
一人親方は、個人事業主として元請から仕事を請け負い、労働者ではないため本来は労災保険の対象外です。
ただし危険性の高い建設業では、国の「特別加入制度」により、一定条件のもと労災保険へ加入できます。
これはあくまで“一人親方本人のための制度”であり、従業員とその事業主のための制度ではありません。
令和6年度(2024年)11月1日より、すべての業種が特別加入制度を利用できるようになりました。
詳しくは関連団体のみんなの労災保険組合HPをご覧ください
● 従業員を雇うと「労働者」が発生する
パート・アルバイト、短期のヘルプ、学生、外国人でも、
「事業主の指揮命令のもとで働く」場合は 労働者扱いになり、事業主は労災保険の加入義務が生じます。
つまり、一人親方の特別加入では従業員の補償はできないと言う事になります。
● 「外注」と思っていても実態が従業員扱いになることがある
仕事を「外注で頼んでるから大丈夫」と思っていても、
- 仕事の進め方を細かく指示した
- 始業・終業時間を決めていた
- 材料や道具が事業主持ちだった
- 日給や時間給で支払っていた
このような状況があると、形式に関わらず従業員(労働者)と判断されるリスクがあります。
従業員を雇ったときの労災保険の基本ルール
● 労災保険は“従業員のための保険”
労災保険の基本は、従業員が仕事中や通勤中にケガ・病気をした時、
- 治療費(自己負担0円)
- 休業補償
- 障害補償
- 遺族補償
などを国が補償する強制保険です。
● 従業員を1人でも雇ったら加入義務
従業員が1人でもいれば、事業主は必ず労災保険へ加入しなければなりません。
具体的には、
- 労災保険の成立
- 労働保険料の申告・納付
- 従業員の雇用保険(必要に応じて)
といった手続きが必要になります。
● 「家族だから大丈夫」は危険
同居の家族であっても、労働条件によっては労働者と認められるケースがあります。
- 給与の支払いがある
- 就業時間が決まっている
- 家族以外の従業員と同様の働き方をしている
などの場合は、労災保険の対象として扱うべきこともあります。
一人親方の特別加入はどうなる?中小事業主への切り替え
ここがこの記事の最重要ポイントです。
● 従業員を年間100日以上使用する場合は「一人親方ではなくなる」
一人親方の定義には、「労働者を常時使用しない」という要件があります。
したがって、
年間100日以上労働者を使うようになると、一人親方とは認められなくなる。
と言う事です。この場合、一人親方用の特別加入は継続できません。

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● 切り替えが必要な典型ケース
ケース①:月に数回だけ手伝いに来る知り合いの職人
→ 年間100日以下なら、一人親方の継続も可能な場合あり。
ケース②:ほぼ毎日働く常用の作業員がいる
→ 一人親方ではなくなる可能性が高く、中小事業主として切り替え必須。
ケース③:家族+外注の組み合わせで実質的に100日超
→ “外注”のつもりでも、実態が使用従属的なら従業員扱いとなるリスクあり。
● 切り替えの流れ(概要)
いま加入している事務組合・特別加入団体に相談
一人親方労災の脱退
中小事業主の特別加入へ切替
同時に従業員用の労災保険を成立
元請や現場へ新しい加入証明書を提出
切り替えタイミングを遅らせると、手続き前に事故が起こった場合の補償・請求に支障が出ることもあります。
ここで注意しておきたいのが、
一人親方の労災保険と違って、中小事業主向けの労災保険は加入までに時間がかかる
と言う事です。早め早めの行動が必要不可欠です。
● 従業員を雇ったらチェック!労災保険切り替えのコツ
先に述べたように、年間100日以上労働者を使用すると一人親方の労災保険の適用外となりますが、
裏を返すと、
従業員の雇い始めから100日目までは一人親方の労災保険の適用対象である
と言う事です。
この期間中に中小事業主向けの特別加入の手続きを進めるとよいかもしれません。
雇用前にチェックしたい「3つの実務ポイント」

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① 「従業員」か「外注」かを整理する
契約書・支払い形式・勤務実態を見直し、
- 指揮命令の度合い
- 時間の拘束
- 賃金の形式
- 道具の支給の有無
などを総合して判断します。
② 自分の補償額(給付基礎日額)も見直す
業務が増えるとリスクも増えます。
一人親方 → 中小事業主への切り替え時に、
自分の補償額(給付基礎日額)を上げることも検討しましょう。
給付基礎日額が低いと、休業補償などが十分に受けられないケースがあります。
③ 元請・現場への共有
加入状況(加入証明書の名義・内容)は元請への信頼にも直結します。
- 一人親方 → 中小事業主への切替
- 従業員用労災の新規成立
などがあれば、早めに元請へ共有しましょう。
労災以外で一緒に見直したい「雇用保険・社会保険」
● 雇用保険
従業員の労働時間や雇用形態によっては加入義務があります。
● 社会保険(健保・厚生年金)
法人化や従業員数・労働時間によって加入ラインが変わります。
● 労務管理(労働条件通知書・就業規則)
トラブル防止のためには最低限の労務管理も必要です。
ただし、この記事では詳しく触れず「労災とセットで考えるべき事項」として提示する程度に留めます。
よくある質問(FAQ)
Q1:家族だけ手伝っている場合も労災保険は必要ですか?
家族であっても、実態が労働者に当たれば労災保険の対象となるケースがあります。
給与支払いの有無、労働時間、他の従業員との平等性が判断基準です。
Q2:外注の職人さんにも、うちが労災保険を用意する必要がありますか?
純粋な請負契約なら外注側(一人親方)が特別加入で自分を守ります。
ただし実態が従業員に近い場合は、あなた側に責任が及ぶ可能性があります。
Q3:従業員を辞めさせて、一人親方に戻った場合は?
一度中小事業主へ切り替えても、再び一人親方へ戻れば特別加入をやり直すことができます。
ただし脱退・再加入のタイミングには注意が必要です。
まとめ:業務拡大のタイミングこそ労災保険の見直しを
- 従業員を雇うと、一人親方のままでは補償が不十分なケースがある
- 年間100日以上従業員を使うなら、中小事業主への切り替えが必要
- 外注・家族の扱いはグレーゾーンも多いため、必ず事前に確認を
- 元請との関係にも影響するため、加入状況の見直しは早めが安心
従業員を雇う=事業が大きく成長するサイン。
そのタイミングで労災保険を正しく整えることは、あなた自身と現場の仲間を守ることにつながります。

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