- Q労災保険の特別加入制度とは?
- A
日本では日本国内の労働者を保護するために労災保険制度が設けられています。労働者とは、会社や組織体に雇用され、労働の対価として金銭等の授受をする者です。
一人親方のように、単独で事業の運営を行う方は、労働者ではありません。
しかし、実際は働かなくては生活を営むことは不可能です。
そのような事業を営む一人親方でも労災保険へ「特別に入れる」ようにした制度です。
特別加入制度の労災保険、または一人親方の労災保険と呼んでいます。
- Q一人親方とは?
- A
一人親方は、会社や組織体に雇用されておらず、基本は労働者を使用しません。
また労働者を使用したとしても、年間100日未満とし雇用はしません。
一人親方の事業形態としては、会社や組織体から仕事の依頼を請け、請負契約で仕事をします。
ですから、時間給のような賃金を受け取ることはなく、完成高(仕事を完成させたときの支払い約束)として報酬を受け取ります。
現場の仕事時間に束縛されることもなく、依頼された仕事を先に断る自由もあります。
わかりやすいのは、会社員のように約束された月の給与として受け取ることがないということです。
また、一人親方という言葉は建設業だけではありませんので、農家の方や林業、個人タクシーや運搬業など様々な分野のお仕事があるということです。
- Q社会保険とは
- A
社会保険という名前の「保険」は世の中に存在しません。
社会保険には、狭義の意味と広義の意味と2つ存在します。
狭義(きょうぎ)の社会保険は、健康保険(協会けんぽや会社の組合健保)・厚生年金保険・介護保険(40歳から支払う)この3つの保険のことを表します。
広義(こうぎ)の社会保険は、労災保険・雇用保険・国民健康保険・国民年金・介護保険となります。
このように狭義と広義があるため、ごちゃまぜになってしまい、未だに健康保険のことを社会保険という方がいらっしゃるのも事実です。
- Q従業員?正社員?雇う?
- A
問い合わせで多いのが「従業員を雇った」という内容です。
この言葉自体、意味を分らなくしています。
従業員とは、企業と「雇用契約」を書面上で交わした「労働者」のことを表します。
労働者ですから、時間で拘束され仕事を行い、その労働対価として賃金が支払われます。
正社員、アルバイトやパートということはまったく関係ありません。
正社員=従業員ではなく、あくまで「雇用契約」をした労働者全員を「従業員」と言います。
雇ったとは、何をする・させるための仕事をする人を雇うわけです。
事務員を雇った、プログラマーを雇った、手伝いを雇ったなどです。
従業員は、職業名ではないので「従業員を雇った」という言葉は基本的に使いません。
- Q社会保険への強制加入となる労働条件とは
- A
令和4年10月1日から法律がさらに改訂され、強制保険である「狭義の意味」の社会保険加入条件が狭まりました。
1.従業員が101人以上いる企業で雇用契約を交わした従業員
2.週の所定労働時間が20時間以上である(週4日労働であれば、日5時間以上の拘束時間)
3.労働対価の賃金が8.8万円以上あるもの
4.2ケ月を超える雇用の見込み(予想)があるもの
5.正社員やアルバイト、パート、非正規雇用者も同様
6.学生ではない
さきほど説明した通り、狭義の社会保険に企業を通して加入させなければなりません。
気を付けることは、広義の社会保険ではないということです。
つまり、健康保険(協会けんぽや会社の保険組合)と厚生年金、40歳以上であれば介護保険への強制加入となります。
- Q雇用保険への加入条件は?
- A
雇用保険は「広義の社会保険」となります。
対象となる者は、雇用契約を交わした労働者で
1.週の所定労働時間が20時間以上あるもの
2.約1カ月(31日以上)の雇用する見込みがあるもの
となります。
被保険者(雇用保険の加入となる対象者)には4種類あります。
1.一般被保険者
2.短期雇用特例被保険者
3.高年齢被保険者
4.日雇労働被保険者
詳しくはホームページのお役立ち情報ページをご覧ください。
- Q雇用保険に加入できない方は?
- A
適用事業(雇用保険への強制加入条件の操業)であっても、以下の労働者は雇用保険への加入はできません。
1.季節的に雇用をされる方で所定の労働する時間が短い方
2.日雇労働者
3.4カ月以内の雇用契約を書面で交わしている季節労働者
4.官公庁に雇用される方の一部の方
その他、以下の方も原則雇用保険加入対象外となります。
1.法人格の取締役(一部労働者性が強い方は除く)
2.個人事業主や法人の代表と同居をしている親族
3.家事使用人や昼間学生
4.臨時内職的な雇用
雇用保険は、労働者が離職、または職に就くためのスキルアップを補助する等の保険ですから、条件なしに雇用されるた方全員を雇用保険に入れるというわけにはいかないため、このような条件が付けられています。
詳しくはホームページのお役立ち情報ページをご覧ください。
- Q一人親方の労災保険にするか広義の労災保険なかの判断は?
- A
前に述べたように一人親方や自営業の方は、基本は時間に拘束されず依頼された仕事を断る自由もあります。
社長と同じなので、時間拘束の労働による賃金や給与という対価もありません。
労働の対価は出来高や日当のようなものとなります。
反対に、雇用契約を交わして従業員として時間を拘束し、時間内での仕事をするものは、時間労働の対価として賃金や給与を支払います。
社会保険の強制加入の労働条件であれば、広義の社会保険である労災保険。
そうでなければ、特別加入制度の労災保険。
さらに簡単に言えば、雇用契約を書面で交わし雇用して、労働時間で縛りをつけ「給与」として賃金を支払う形態なら、広義の社会保険である労災保険へ強制加入となると思えばよいでしょう。
- Q一人親方や自営業のメリットとデメリットを知りたい
- A
このような言葉はどうかと思われるかもしれませんが、雇用された方は時間内の仕事が出来ようが出来なかろうが、賃金は支払われます。会社の一方的な都合での解雇も、日本では許されていません。
また、休日も確保され、社会保険制度にも守られます。
一人親方や自営業の方は自分の力で仕事をこなしていきます。
つまり、工期が伸びたり、時間内に仕事が終わらなければ自分の収入が減るだけでなく、その仕事に対しての力量がないと判断されれば、元請けからの信頼がなくなり仕事の依頼も減少する可能性があります。
時間に拘束されないということは、休日や労働時間も自分で決めていきます。
事務作業等もすべて自分です。
自分の力で稼ぐんだという方や時間に拘束されたくない、つまり自由に自分の力で仕事をしていきたいという方は一人親方や自営業が向いています。
メリットやデメリットは二面性ですから、どんなことにも必ずついて回ります。